昔書いた読書感想文~男の星座 [読書感想文]
オレが買ったのはアース出版局版で、ここに上げた写真は別バージョンの借り物である。なお、ここに書いてあるように未完の作品なのだが、確かラストは編集者から「少年マガジンにゼヒ連載してくださいッ」みたいに頭を下げられるシーンで終わったような気がする。で、そんとき、「おぉ早稲田出のエリートがオレに頭を下げているッ! オレもここまで来たかッ!」みたいな梶原の感慨が描かれていたような記憶がある(現物はどっかに紛れ込んでいるので確認不能)。おぉ天下の梶原一騎にも学歴コンプレックスがあったのかー、けっこうセコイことで喜ぶのだなーと微笑ましい気分になったことを覚えている。
ちなみに、やっぱり今は絶版になっているようで、検索をかけてみると「お笑い 男の星座」ばっかり出てくるのが悲しい。
「漫画ゴラク」に掲載されていた、漫画原作者・梶原一騎の未完の遺作です。梶原の自伝的作品、というわけで、彼を思わせる梶一太なる青年のビルドゥングスロマンですね。空手の大山倍達、プロレスの力道山なんかとの交友のエピソードも(全部ホントでもないだろうけど)出てきます。
で、何がいいのかというと、男の子というのは「誰が世界で一番強いのか」みたいなことに興味シンシンなわけです。「腕っぷしの強さ」信仰みたいなものがあるんですね。その点、梶原って人は「ずっと子供のままで大きくなってしまった」みたいなところがあるんじゃないか。それで、まず格闘技がひとつのテーマになる。さらに彼は「男は強くあるべし」というところから派生して「男気」「義侠心」「不言実行」「信義」みたいなものを高らかにうたいあげる。
まあ、フツーの人は「そんなもんじゃ世の中生きてゆけないよ」っていつのまにか気づいて、オトナになっていく。同時に時代も変わってきましたよね。梶原流の一途さが「重苦しい」と敬遠される時代になってきて、例えば彼が原作を書いた「巨人の星」は今やパロディーのネタ。
でも、じゃあ梶原一騎はアナクロか、というと、「いやそうじゃない」と思いたいわけです。やっぱり「正義はある」と思いたいし、卑怯は許せない、「男の美学」というものはあると思いたい。彼の全盛期を知るおやじ世代は、ひそかにそんな思いを胸に彼の漫画を手にとるのです。本作は未完でもあり、完成度は決して高くない。でも、そんな梶原ワールドの熱っぽさはジンジン伝わってきます。 (2000/3/26記)
ちなみに、やっぱり今は絶版になっているようで、検索をかけてみると「お笑い 男の星座」ばっかり出てくるのが悲しい。
男の星座―一騎人生劇場 (1) (漫画名作館スペシャル―男のバイブルシリーズ)
- 作者: 梶原 一騎
- 出版社/メーカー: アース出版局
- 発売日: 1998/03
- メディア: コミック
「漫画ゴラク」に掲載されていた、漫画原作者・梶原一騎の未完の遺作です。梶原の自伝的作品、というわけで、彼を思わせる梶一太なる青年のビルドゥングスロマンですね。空手の大山倍達、プロレスの力道山なんかとの交友のエピソードも(全部ホントでもないだろうけど)出てきます。
で、何がいいのかというと、男の子というのは「誰が世界で一番強いのか」みたいなことに興味シンシンなわけです。「腕っぷしの強さ」信仰みたいなものがあるんですね。その点、梶原って人は「ずっと子供のままで大きくなってしまった」みたいなところがあるんじゃないか。それで、まず格闘技がひとつのテーマになる。さらに彼は「男は強くあるべし」というところから派生して「男気」「義侠心」「不言実行」「信義」みたいなものを高らかにうたいあげる。
まあ、フツーの人は「そんなもんじゃ世の中生きてゆけないよ」っていつのまにか気づいて、オトナになっていく。同時に時代も変わってきましたよね。梶原流の一途さが「重苦しい」と敬遠される時代になってきて、例えば彼が原作を書いた「巨人の星」は今やパロディーのネタ。
でも、じゃあ梶原一騎はアナクロか、というと、「いやそうじゃない」と思いたいわけです。やっぱり「正義はある」と思いたいし、卑怯は許せない、「男の美学」というものはあると思いたい。彼の全盛期を知るおやじ世代は、ひそかにそんな思いを胸に彼の漫画を手にとるのです。本作は未完でもあり、完成度は決して高くない。でも、そんな梶原ワールドの熱っぽさはジンジン伝わってきます。 (2000/3/26記)
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