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CBAの英文機関誌 [UFO]

というわけで、以下、フツーの人には意味不明の話。

私淑しているジャック・ヴァレが共著として出した「Wonders in the Sky」という本をKIndleでパラ見しているのだが、これは19世紀以前であったろうか、世界各地で目撃されたUFOのはなしを様々な文献を渉猟してまとめた本であって、中には日本の話も出てくるが、その話のほとんどが1960年代に刊行されていたらしい日本の雑誌「Brothers」を典拠として挙げておる。

はて、そんな雑誌あったのか? というわけで、いろいろとググってみたところ、丹羽公三という方の「Kz.UFO現象調査会」なるサイトにたどりついた。

小生浅学のため存じ上げなかったのだが、このサイトでは内外のさまざまな関連書籍・史料が幅広く紹介されており、ふむこの方、在野のベテラン研究家であろうかとさらにググってみると、この丹羽氏、並木伸一郎氏が会長をしている日本宇宙現象研究会(JSPS)のエライ方のようで、やはり同会に関わっておられたということなのだろう、早世された志水一夫氏を偲ぶ会の会合に、並木氏などとともに参加された際の記事などもネット上でみつけることができる。

なるほどこういう業界はオレのような半可通の知らないところでちゃんと存在しているのだなという感慨を抱いたものである―――いやいや、すっかり話がわき道にそれてしまったようだ。閑話休題。

で、この「Kz.UFO現象調査会」のホームページから、「UFO最新情報保存庫」→「新規UFO関連資料掲載」→「平成18年6月 新規掲載」と入っていったところに、この「BROTHERS」の表紙写真が掲載されていたのだった。2冊あって、ともに1964年刊。ひとつはVol.3 No.1、もうひとつはVol.2 No.Ⅰ-4と読める。
で、そこにはCBA(Cosmic Brotherhood Association)の文字。

そう、どうやらこれ、1950年代半ばから約10年間、国内で盛んに活動を繰り広げたUFO研究団体CBA=宇宙友好協会が出していた英文誌であったようなのだ。じっさい、このサイトには「CBA率いる松村代表のあいさつ」と題した記事の写真も掲載されていて、つまりこの団体を仕切った(とされる)松村雄亮氏の肝いりで発刊された雑誌であるらしいこともわかる。先のサイトの写真をみると表紙はカラーだ。凄げぇ力入ってる。

なるほど、これで話が見えてきた。

実はヴァレの名著「Passport to Magonia」にも、日本の過去のUFO目撃譚についてコメントするかたちで、この松村雄亮氏は登場している。ちなみに同書の初版刊行は1969年。となると、こんな推測が成り立つだろう。1960年代、松村氏は世界に開かれたUFO研究を志し、英文雑誌による情報発信を試みる。今も昔も、日本人というのはこの手の試みが苦手であるから、海外の研究者たちにこの雑誌が注目されたであろうことは想像に難くない。気鋭の研究者、ジャック・ヴァレもその一人。この雑誌がきっかけになり、ヴァレは松村氏と連絡をとりあうようになる――。

もっとも、結局のところUFO=宇宙船説をとるCBAと、そのような考え方に懐疑的なヴァレは本質的なところで相容れるはずはなく、この「交流」もしょせんうわべだけのものであったと言うことはできるし、例の「Wonders in the Sky」に引用される「Brothers」も基本的にオリジナルソースを明示していないようなので、「しょせん怪しげな雑誌だったんじゃないの?」というツッコミもあり得るだろう。さらにいえばこのCBA、ある種の終末論を唱えていたことが暴露され、今日ではある種のカルトのようにみなされることも多いし。

だがしかし。1960年代という時点で、この手の情報発信にチャレンジし、それなりの反響を得たのだったとすれば、こいつはソコソコ評価すべきことなのではないか? それに、当時のCBAはそれなりにキチンと海外のUFO情報を紹介するマジメな取り組みにも取り組んでいたのではなかったか? あるいは、これは評価されるべきことかどうかは微妙だが、縄文の遮光器土偶をエインシェント・アストロノーツと関連づける議論を始めた「功績」(笑)は、たしかCBAにあるんじゃなかったか?

この「BROTHERS」が1960年代の世界のUFOシーンに与えた影響というのはどのようなものだったのか? 資料も散逸しつつあるとは思うのだが、才ある方にそのあたりをじっくり調べていただけたら、などと思うのである。いや、とゆーか、そもそもCBA興亡史みたいな、その全貌を明らかにする本があればいいのだ。読みたいぞオレは。そういう本があれば。まぁ大宅壮一賞が取れるハナシとは到底思えないけれども。


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コメント 2

小山田浩史

Brothersの正体はそういうことでしたか……
丹羽さんのHPは量がありすぎて全部中身を確認できていないのですが、Brothersまで紹介されていたとは……
ヴァレと松村氏の関係も気になるところです。
もっともヴァレのことですから、途中で松村さんのことを"Messenger of Deception"と見做したのかな、などという気もします。
丹羽さんは先日のエイモス・ミラー事件調査の時も本城さんのASIOSブログに情報を寄せてくれていたので、まだまだご健在のようですね。
by 小山田浩史 (2012-07-24 23:58) 

macht

おお某magoniaさま、ご来訪ありがとうございます。

オレは業界の内実に疎いものですからナンなのですが、丹羽さんはかなりの著名人でいらしたのですな。

いやともかく、本当にこのあたりのことはちゃんとまとめておいて欲しいと思っておるのです。個人的には、この辺かなりお詳しいと思われる京大円盤系の某Y・S先生にお書き頂きたいと勝手に思っているのですが、本業の研究のほうもお忙しいようだし、だいぶ前にお会いする機会があったとき「CBA系の資料集めはカネがかかってかなわん」的なことを仰っていたのでやっぱり無理かなあ。とまたフツーの人には意味不明の言語を口走る(笑)
by macht (2012-07-25 00:59) 

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