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朝日の社説を嗤う [天声人語]

今回は天声人語じゃなくて、けさの社説なんだが、あんまり脳天気だったのでコメントしておこう。以下引用。

吉田秀和さん―言葉の力を教えられた


 本紙で40年にわたり「音楽展望」を書き続けた吉田秀和さんが、98歳で亡くなった。

 柔らかい言葉を使いつつ、精密な分析と確固たる自分の見方によって、評論が一つの作品となるような道を開いた。

 それをなしえたのは、古今東西の教養に基づき、自由に、公平に、考えようとしたからだ。「展望」と名乗ったのも、広く見渡そうという意志だった。

 でも、読者はお気づきのように、吉田さんが批評するのは、クラシック音楽にとどまらなかった。美術はもちろん、宝塚やファッション、政治や事件、そして大好きな相撲まで、自由自在だった。

 若いときから中原中也や大岡昇平らと交遊し、一方で、小澤征爾さんや中村紘子さんらを育てた人でもあった。

 1990年度の朝日賞に決まったとき、吉田さんは「芸術が様々に分化していても、根底には感動を呼ぶ共通の源が厳然と存在すると思う」と話した。

 時代を広く見渡し、根源を問い続けていた。

 思えば、3月に亡くなった吉本隆明さんも立場は異なるものの、文学や政治、サブカルチャーまでを幅広く論じた。2008年に亡くなった加藤周一さんも「知の巨人」と呼ぶのにふさわしい存在だった。

 戦後社会で常に「自由」に価値を置き、世評におもねることなく、自分で考え、自分の言葉で語ろうとした人たちだ。

 知の巨人に続く世代は、どうあるべきか。

 芸術も産業も、技術は高度になった。だが、そこを論じるだけでは足りない。考える領域を広げ、知る喜びを伝える案内人の役割が、ますます重い。

 ネット社会が広がるほど、文化も、社会に関わる情報も、様々な境界を越える。現代的なやり方で、分野をこえて根源を問い、自分の言葉で考える努力を先人たちにならいたい。

 言葉にしにくい音楽に向き合ってきた吉田さんは「どんなことでも言葉にできる、という信念が僕にはあります」と語っている。別の機会には「音楽が聴こえてくるような文章を書きたい」とも。

 この、言葉への信頼。

 芸術や社会現象を歴史の中に位置づけ、それを体験した人には説得力のある見方を示し、そうでない人には疑似体験できるようにする。そんな評論を分かりやすい言葉でなしてきた。

 新しい「音楽展望」を読むことはもうできない。しかし吉田さんが残した問いを立て続けることは、私たちにできる。



うーん。吉田秀和はルネサンス的教養人で、何でもかんでも論じることのできる人物だから偉かった、そういや吉本隆明も何でもごされだったよね、そういう人間ってますます大事だよね、ということを言っているらしい。しかし、なんてゆーか、今頃そんな牧歌的なこといってるから、朝日新聞はいまだに古くさい教養主義の権化といわれてしまうのではないかなー。

確かに「幅広い知識」というのは大切であって、たとえばC・P・スノーがかつて「熱力学第二法則を知らないというのは、シェイクスピアをひとつも読んだことがないのと同じようなものだ」と喝破したように、「オレ文系だからエントロピーなんて知らないよ」というのは無責任、という議論はとりあえずは成り立つ。

しかしそういうことを言い出すなら、朝日新聞だって、たとえば統計学のイロハもわからないで統計ネタの記事書いてたりするわけであるから、まずは「隗より始めよ」で記者教育をしっかりやるのが先決ではないか。

いや別にそんな皮肉をいいたいわけではなくて、本当にいいたいのは、こういう時代にむりやりルネサンス的教養人出でよ、というのはかなりムリがあるんではないか、ということなのだ。

吉田秀和さんは相撲が好きだったそうだ。そうですか。でも現代を語るんであれば、相撲とかよりもプロレスを語れたほうがいいんじゃないでしょうか? あ、天声人語子の好きな女子サッカーも語れたほうがいいかもね。もちろん認知心理学とか超ひも理論とか、学問の話も語れないとダメだよね。

というのはもちろんホンネではなく、現代というのはもはや床屋政談みたいなものであらゆるジャンルをなで切りにするというのがムリな時代になっているのだから、そういう「知の巨人」待望論みたいなのは破産してんじゃないの、といいたいのである。

菅直人がフクイチの事故のときに何でも自分で仕切ろうとして批判されたのは記憶に新しいが、やはりそういう時は、スーパーマンではない、ごくふつうの人間の衆知を集めてどうにかこうにかやってく、というのが現代人に求められる流儀ではないのだろうか。

というわけで、いつもいつも思うのだが、朝日新聞には「時代を切り開く先導者というのは必ず必要だ。で、それは朝日新聞ッス」(笑)といいたくて言いたくてたまらない欲望があるらしい。もうそういうのやめようよ。




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