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危ない精神分析 [Nice]

矢幡洋「危ない精神分析――マインドハッカーたちの詐術」

ちょっと古い本ですが、最近よんでとても感銘をうけました。

小生の関心にひきつけていえば
アメリカ人というのは「宇宙人に誘拐されて生体実験された」
などといいだす人が異常に多いヘンな国なのですが
よく似たバリエーションとして「親に悪魔崇拝の儀式に連れ出されてひどいことをされた」
といいだす人も相当に多いらしいです。

(参考 ローレンス・ライト「悪魔を思い出す娘たち」 これもいい本です)


そういう文化風土のところで
精神的なトラブルを抱えて精神科なりカウンセラーにいった人が
「あなたのトラブルは幼児期に親に虐待されたからです」
などと示唆されたらどうなるか…ありもしない「虐待」を思い出して
親を告発してしまう人が続出するわけですわ。

そういう「偽記憶症候群」が一時期アメリカでたいへんな問題となったわけですが
その顛末を紹介したのが本書。精神医療の問題でもあるけれど
わしは「こんな風に簡単に操作されてしまうなんて、人間って奇妙な存在だなあ」
という意味合いで面白くよみました。


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コメント 4

ok

本書について、無批判に矢幡の主張を受け入れる方があまりにも多すぎるので、PTSD研究の第一人者、ベッセル・ファン・デア・コルク博士の著書「身体はトラウマを記録する」から引用します。

トラウマ体験の記憶喪失と遅延想起は研究室で実証されていないので、認知学者のなかには、そのような現象が存在することや、想起したトラウマ記憶が正確でありうることを断固否定した人がいる。とはいえ、医師が救急処理室や精神科の病棟、戦場で出会うものは、科学者が安全で整理整頓が行き届いた研究室で観察するものとは必然的に全く異なる。

たとえば、「ショッピングモールで迷子」実験として知られているものを考えてほしい。アメリカの研究者たちは、子供のころにショッピングモールで迷子びばるといった、実際には起こらなかった出来事の記憶を植えつけるのが比較的容易であることを示した。こうした研究の参加者の約25パーセントが、のちに、自分がおびえたことを「思い出し」、抜け落ちていた詳細を埋めさえする。だが、そのような記憶には、迷子の子供が実際に経験するような、体の芯からの恐怖をいっさい伴わない。
「身体はトラウマを記録する」p.317
これが最新(2015年)の知見です。

なお、矢幡洋は人格障害者のようです。それは、この動画を観ていただければ、明白にわかります。

https://www.youtube.com/watch?v=QBLt6RnRb6s&t=681s


by ok (2017-09-08 00:45) 

macht

放置しているブログにご訪問いただき、かつコメントまで頂きましてありがとうございました。

だがしかし、うーん、引用部を読んでも何だか意味がよくわからんかったのですが、このエントリーで言いたかったのは「宇宙人に拐われたとか、悪魔崇拝の儀式とか、そういう記憶ってちょっとどうなんでしょうね」という話なのですよ。「いや、それもアリだ」ということをおっしゃりたいのかしらん? ま、いいけど。
by macht (2017-10-17 22:32) 

macht

あと、動画をみただけで人格障害とか断定するのは、ちょっと、なんというか、非科学的っていうか、失礼なのではないかなーと思いました(個人の感想ですw
by macht (2017-10-17 22:35) 

macht

更に言わせてもらうと、ご存知かどうか、「エイリアンに誘拐された」とか言っているパスカグーラ事件のアブダクティーなんかも「体の芯からの恐怖」を味わってたようですよ。じゃ、これも「実際にあったこと」と考えたほうがいいんでしょうかネ?

あえて厳しいことをいいますが、無批判にファン・デア・コルクの主張を受け入れるのはよくて、矢幡洋はダメというのもあまりに権威主義が過ぎるのではないでしょうか?

それに、仮に矢幡洋が人格障害者だとして(先に書いたように、それこそ非科学的なラベリングだと思うのですがそれはとりあえず措くとして)それが必ずしも彼のロジックが誤っていることの証左にはなりません。安倍首相の大好きな言葉でいえば、それこそ「印象操作」(笑)。

虚偽記憶のようなセンシティブな問題を語るときには、もうちょっと理性的・科学的なスタンスが求められるのではないかなーと老婆心ながら忠告させていただきたいと思います。


by macht (2018-02-05 22:26) 

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